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【第6回 AI】GPUの性能だけではAIは速くならない――AI時代は「ネットワーク」が重要になる

生成AIや大規模言語モデル(LLM)の世界では、NVIDIA B200やH200など、高性能GPUの話題に注目が集まりがちです。
しかし、GPUの性能がどれだけ高くても、AIで使用する大量のデータをGPUまで高速に届けることができなければ、その性能を十分に発揮することはできません。
AIインフラでは今、
「GPUの性能」だけでなく、「GPUとデータをどう高速につなぐか」
が重要なテーマになっています。
その流れを象徴する発表が、2026年9月24日にありました。
株式会社ハイレゾは、同社が香川県で運営する高松市データセンターを、国立情報学研究所(NII)の学術情報ネットワーク「SINET6」と接続したと発表しました。
さらに、高松市データセンターからSINET6の通信拠点までのアクセス回線には、NTTグループの次世代光ネットワーク技術**「IOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)」**が実装されています。

「SINET6」とは何か?

SINET6は、国立情報学研究所が構築・運用する、日本全国の大学や研究機関を結ぶ学術情報ネットワークです。

大学や研究機関では、

– AI・機械学習
– 大規模言語モデル
– スーパーコンピューター
– 医療・生命科学
– シミュレーション
– 画像解析
– 科学技術計算

などで非常に大きなデータを扱います。

そこで研究機関同士やスーパーコンピューター、クラウドなどを高速ネットワークで結ぶためにSINETが重要な役割を担っています。
今回ハイレゾがSINET6へ接続したことで、SINET6を利用する全国の大学や研究機関に対し、高松市データセンターのGPU計算リソースを高速・大容量・低遅延で提供する体制が強化されました。

なぜGPUに高速ネットワークが必要なのか

AIの計算では、GPUだけが働いているわけではありません。
簡単に表現すると、

データ → ネットワーク → ストレージ → GPU → 計算結果

という流れがあります。
例えば、大量の画像データを使ってAIを学習させる場合、数TB、場合によってはそれ以上のデータをGPUへ何度も送り込む必要があります。

GPUが高速になっても、ネットワークやストレージが遅ければGPUはデータが届くのを待つことになります。
高価なGPUを導入したにもかかわらず、「GPUが100%働いていない」という状態が起こり得るわけです。

そのため最近のAIデータセンターでは、GPUと同じくらいネットワーク性能が重要視されています。

IOWN APNとは?

今回ハイレゾが採用したIOWN APNは、光(フォトニクス)を中心に構成する次世代ネットワーク技術です。
従来の電子処理を多用するネットワークと比較して、大容量・低遅延・低消費電力な通信基盤の実現を目指しています。

NTTドコモビジネスは2026年7月、IOWN APNを利用した「GPU over APN Testbed」の提供も開始しています。
札幌、金沢、福岡、大阪、首都圏など全国8拠点に配置したGPUを、100Gbps級の低遅延・大容量ネットワークで接続し、地理的に離れたGPUを一つの計算環境のように利用する実証環境です。

これは非常に興味深い考え方です。
従来なら、
「GPUは同じデータセンターに置く」
ことが基本でした。
ところが高速・低遅延ネットワークが発達すると、

東京のGPU
大阪のGPU
九州のGPU
四国のGPU

など、離れた場所にある計算資源を連携させる可能性が出てきます。
世界でも「GPUをつなぐ技術」が重要になっている
これは日本だけの動きではありません。

NVIDIAも「Spectrum-XGS Ethernet」という技術を展開しており、複数のデータセンターを接続して、一つの巨大なAI計算基盤として利用する「Scale-Across」という考え方を打ち出しています。
AIモデルが巨大化すると、一つのデータセンターだけでは、

電力
GPU台数
土地
冷却能力

などに限界が出てきます。

そこで、複数のデータセンターを高速ネットワークで接続して計算能力を拡張するわけです。
前回のコラムでは、AIデータセンターでは**「電力」が新しいボトルネックになっている**ことをご紹介しました。

今回のニュースを見ると、もう一つ重要な要素が見えてきます。

それが、
「ネットワーク」です。
今後のAIインフラは、
GPU × 電力 × 冷却 × ネットワーク
を一体として考える必要があります。

大学・研究機関にとって何が変わるのか

特に今回のハイレゾとSINET6の接続は、大学・研究機関にとって意味があります。
研究室で高性能GPUサーバーを購入しようとすると、数百万円から数千万円規模の投資になる場合があります。

さらに、

電源設備
空調・冷却
設置場所
保守
GPUの更新

なども必要になります。

一方、GPUクラウドであればGPUそのものを所有する必要はありません。
必要なときに、データセンター側に設置されたGPU計算資源を利用します。
そこにSINET6のような学術ネットワークとIOWN APNのような高速通信技術が組み合わされることで、

「GPUを研究室に置く」のではなく、「ネットワークの向こう側にあるGPUを使う」

という利用方法が、さらに現実的になってきます。

GPUSOROBANの強みも「GPUだけ」ではなくなる

ハイレゾは現在、国内4拠点でGPU専用データセンターを運営しています。
今回SINET6へ接続した高松市データセンターは2024年12月に開設され、中四国地方初のGPU専用データセンターとして稼働しています。床面積は約687㎡、投資額は約100億円です。

また9月18日には、ハイレゾ、九州電力、IIJなどによるAPN等を活用した分散データセンター運用の実証が総務省の「令和8年度 ワット・ビット連携関連実証」に採択されたことも発表されています。

つまりGPUSOROBANも、
高性能GPUを貸し出すサービス
から、
全国に分散したAI計算資源をネットワークで利用するAIインフラ
へと進化していると見ることができます。

企業にとってもネットワークは無関係ではない

今回のSINET6は主に大学・研究機関向けですが、この考え方は一般企業にも広がっていく可能性があります。

例えば製造業では、大量の画像データをGPUクラウドへ転送して外観検査AIを学習させるケースがあります。

建設・設計業界では、シミュレーションや3DCGなど大容量データを扱います。

生成AIでも、自社データを使ったRAGやAIモデルの追加学習では大量のデータを処理するケースがあります。

その場合、

「どのGPUを使うか」

だけではなく、
「会社とGPUクラウドをどう接続するか」まで考える必要があります。

AI時代のインフラ選定は、サーバー単体のスペック比較だけでは不十分になりつつあります。

AIインフラは「計算力を買う時代」へ

これまで企業がIT設備を導入するときは、
サーバーを購入する
ストレージを購入する
ネットワーク機器を購入する
という考え方が一般的でした。
しかしAIでは、設備そのものを所有するのではなく、

「必要な計算能力を、必要な場所から、必要な期間だけ利用する」

という考え方が重要になっています。
GPUクラウドは、その代表的なサービスです。
そして高速ネットワークの発達によって、「遠くにあるGPUを使う」という物理的な制約も小さくなっていく可能性があります。
今後GPUを導入するときには、

GPU性能
GPUメモリ
料金
利用時間
ネットワーク
データ量
セキュリティ

まで含めて判断する必要があるでしょう。
「一番速いGPUを選ぶ」のではなく、

自社のAI処理全体を最も効率よく動かせる環境を選ぶ。

これが、これからのGPUインフラ選びの重要なポイントになりそうです。

GPUサーバー・AI向けサーバーの導入をご検討の方へ

GPU・AIサーバーの導入をご検討の際は、ウイルネットまでお気軽にお問い合わせください。
弊社では、株式会社ハイレゾが提供するGPUクラウドサービス「GPUSOROBAN」の正規代理店を行っております。
弊社を通じてご契約いただくことで、サービス・構成等に応じて、直接契約する場合と比較して5%~10%程度お安くご提供できる場合があります。
AIスパコンや高性能GPUサーバーは数百万円規模になることも珍しくありません。高額なGPU環境だからこそ、数%の価格差でも大きなコスト削減につながる可能性があります。
弊社では、大学・研究機関をはじめ、一般企業のお客様にもGPUサーバー・AI関連サービスをご導入いただいております。
特に今回のSINET6接続により、大学・研究機関でGPU計算環境をご検討されている方にとって、GPUSOROBANはさらに検討価値の高い選択肢になったと考えています。

「研究用GPUを購入するべきか、クラウドを利用するべきか」
「B200やH200など、どのGPUが研究内容に適しているのか」
「現在使用しているGPU環境から移行できるのか」
といった段階からでもご相談ください。

GPU・AIサーバー、GPUクラウドの導入をご検討の際は、ウイルネットまでお気軽にお問い合わせください。
今回の中心資料は、2026年9月24日に発表されたハイレゾの最新プレスリリースです。ハイレゾ「IOWN APNでSINET6とAIデータセンターを接続」
IOWN APNを使った分散GPUの技術動向については、NTTドコモビジネスの「GPU over APN Testbed」も参考になります。NTTドコモビジネス「GPU over APN Testbed」

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執筆・監修:株式会社ウイル 執行役員 岸本 静樹
編集協力:生成AI
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